Bob Dylan / Together Through Life

 2009年に発表された、Bob Dylanのスタジオアルバム第46作。

34枚目のスタジオ録音作品、というよりは、デビュー47年目って方がすごく感じるだろうが、もう眼をつぶって黙って聴く大人のロック、と断言してしまっていいだろう。

冒頭の”Beyond Here Lies Nothin'”のロス・ロボスっぽさに一瞬驚いたが、案の定ロス・ロボスのDavid Hidalgoがバックを務めていた。これ以外の曲でも、ロス・ロボスが持つルーツロック(それもかなりブルース寄り)的な部分を持った全10曲、どれも他の人では同じように表現はできない、ありきたりな言葉をあえて使うなら「渋い」曲が続くんである。「文句あっかー!」と言われているかのような、貫禄である。
全般的には私の大好きなブルース色の強いロック調の曲が多いのと、シンプル、かつ味のある演奏が満喫できるので、とても好みの内容である。ボブ・ディランの声は、もうかなり枯れて来ちゃってるんだけど、この枯れた味がたまらなくいい。私自身もそんな歳になってきたのでしょうか。

私が個人的に一番気に入ったのは、”If You Ever Go To Houston”。バックのアコーディオンとゆったりしたスネアに乗せた彼のヴォーカルは、人生について朗々と歌い上げているのかと最初思ったが、よくよく歌詞を聴いてみると、「ヒューストンに行ったら右側を歩け/ポケットに手を入れてガンベルトをきっちりと締めろ」みたいな歌だったりするのだ。

全10曲というのは少ないかもしれない。合計時間も46分と、昔のレコード時代の長さと言える。けど、聞き応えは十分。まだまだこのじいさん(失礼)は当分の間ロックできるぞ!と確信できる作品だった。

なおご参考までに、このアルバムはビルボード誌のトップアルバムチャートで全米No.1を記録した。なんて懐の深い国なんだ、アメリカは。

Tracks:
01: Beyond Here Lies Nothin’
02: Life Is Hard
03: My Wife’s Home Town
04: If You Ever Go To Houston
05: Forgetful Heart
06: Jolene
07: This Dream Of You
08: Shake Shake Mama
09: I Feel A Change Comin’ On
10: It’s All Good

Negicco / Melody Palette

 2013年7月にリリースされた、negiccoの初のフル・オリジナルアルバム。T-Palette Recordからの第1弾である。

 私はシングル「光のシュプール」からnegiccoを聴き始めたので、1作品前の彼女たちはどうだったのかな、という視点で本作を聴き始めたのだけど、やっぱり聴いてよかったと思える名作だ。90年代の「渋谷系」をしっかり継承しているなあというのが第一印象。私のような50近いオッサンの心にもしっかり届く音作りだ。歌もしっかりだし、すごく曲が耳に馴染んでくる。やっぱりconnieさんはただ者ではないです。

 アイドルである彼女自身が、いかにもピチカートっぽい曲(もちろんこにしやすに乗せ、「アイドルと握手をしたってデートはできない」「どんなにお金を積んでもキッスとか出来ない」「結婚も出来ない」と断言した挙句、「ざんねーん!」と言い切ってしまう「アイドルばかり聴かないで」が本アルバムの代表作と言えるだろう。シングルを何枚も買って握手券を手に入れて、何てことを本人たちもやっているのにも関わらず、「ざんねーん!」って一言なのである。痛快痛快。

 「アイドルばかり聴かないで」が代表曲とはいえ、本作はとっても良質なアイドルポップがてんこ盛りで、この隙のなさには驚くばかりである。参加している人たちも超豪華。西寺郷太、小西康陽、tofubeats、ユメトコスメの長谷泰宏、サイプレス上野とロベルト吉野などなど。バラエティの富んだ作品をきっちりと歌いこなしている。(ちなみにジャケットはジェーン・スーがプロデュース)

 そして私個人的にベストトラックと思っているのが、「ルートセヴンの記憶」と「ネガティブ・ガールズ!」なのである。

 「ルートセヴンの記憶」は、イントロのエレピを聞いた瞬間に「おー!」と口に出してしまった作品。これは明らかに「中央フリーウェイ」へのオマージュだなと。眼をつぶって見える光景が中央フリーウェイそのものなんだもん。「もう直ぐ右に見えるわ競馬場 左はアイス工場」なんて歌詞が出てくる。この光景は、もちろんルートセヴン=新潟市内を走る国道7号線に乗り、新潟競馬場付近を走り抜いているんである。「少しだけ窓を開けて風を入れたら」「大好きと小さな声わざと言うから/聞き返すあなたにイジワルした」なんてフレーズもあの曲っぽくてアラフィフ世代にはぐっとくるフレーズなんですよね。

 「ネガティブ・ガールズ!」はうって変わってアップテンポの元気な曲なのだが、これは彼女たちが自分自身を元気づけるような歌なんだなと思うと、どうしても聴きこんでしまう曲。「今はまだ弱いけど/きっといつかはポジティブ・ガールズ!」なんていう歌詞を聴いてしまうと、こんなおじさんでも勇気付けられるもんです。元気が出ない朝の通勤ミュージックですから。

 ちょっと長くなってしまったけど、実は本作も「Rice & Snow」と同じくらいの名作であった。多分何年も聴き続けることができる作品だろう。アイドルの作品だけど、この時からもうアイドルを超えた、ちょっと違う存在の人たちだったのだ。

Tracks:
01: 愛のタワー・オブ・ラブ
02: あなたとPop With You!
03: アイドルばかり聴かないで
04: イミシン☆かもだけど
05: 相思相愛
06: 恋のEXPRESS TRAIN
07: GET IT ON!
08: ナターシア
09: ルートセヴンの記憶
10: ネガティブ・ガールズ!
11: Negiccoから君へ
12: スウィート・ソウル・ネギィー (grooveman’s Jack Bounce Mix)
13: ニュートリノ・ラヴ (banvox remix)

America / Encore: More Greatest Hits

 1991年にRhinoから出たAmericaのベスト盤。彼らはWarner時代(黄金期)にベストアルバムを1枚発表しているが、このRhinoのセレクションはこれに入り切らなかった当時の曲と、Capitol移籍後のヒット曲を集めたもの。選曲はさすがのRhino。しっかりCapitol時代のヒット曲は押さえながらも、あまり評価されなかったアルバム”Holiday”(1974年)から4曲がピックアップされ、さらには新曲も4曲入っていると言う、豪華な16曲入りである。この新曲の中では圧倒的に”Nothing’s No Far Away (As Yesterday)”がお勧め。

 Warner時代の音づくりとCapitol時代の、特にRuss Ballardプロデュースの”View From The Ground”(1982年)以降の甘い米国系AOR路線をこの1枚で比較できるのはなかなかいいと思う。個人的にはアルバム”Your Move”(1983年)からもう少し選曲して欲しかったところだが・・・。

 なお本作品が出た10年後に、Complete Greatest Hitsというベスト盤がRhinoから発売された。これと迷う人がいるかもしれないが、既に書いた通り本作品ではWarner時代の大ヒット曲は収録されておらず、ちょっと変化球的な作品が含まれているので、これはこれで聴くといいと思う。確かに重複している曲は何曲かありますけどね。

Tracks:
01: Nothing’s No Far Away (As Yesterday)
02: On Target
03: Hell’s On Fire
04: The Farm
05: You Can Do Magic
06: Hollywood
07: Another Try
08: Old Man Took
09: Today’s The Day
10: Can’t Fall Asleep To A Lullaby
11: Survival
12: Everyone I Met Is From California
13: Right Before Your Eyes
14: Cornwall Blank
15: To Each His Own
16: The Border

Negicco / Rice & Snow

 NegiccoのT-Paletteからの第2作。以前からNegiccoの存在自体はもちろん知っていたけれど、本格的にアルバムとして聴いたのは初めて。それにしてもNegiccoはすごいなあ。こんなに夢中になってしまうとは思わなかった。

 アイドルのかわいさと疾走感が入り混じっててカッコいい「トリプル! WONDERLAND」~「ときめきのヘッドライナー」で始まり、かわゆいポップ調の「クリームソーダLOVE」(これはリーダーのNao☆の作詞)、大人っぽいファンク系ポップの「二人の遊戯」、え!?首都高の歌??の「BLUE, GREEN, RED AND GONE」、是非ともビール(冬物語)のCMソングとして使ってほしいなと思う「光のシュプール」などなど、作品としてはかなりバラエティに富んでいるが、これらをしっかりと自分のものにして歌っているところがすごい。

 作詞/作曲には矢野博康、西寺郷太、ジェーン・スー、田島貴男などなど、書ききれないほどの有名・一流アーティストが参加している。普通実力がないと、歌が完全に浮ついてしまい「歌わされている」感が出てきてしまうものだが、Negiccoにはそれをみじんも感じさせない。

 私のような50近いおじさんがNegicco?と思われるかもしれないが、プロデュースを手掛けているConnieさんの感覚、上述したアーティストの面々の音楽性が我々世代にぴったりとハマる部分があるようだ。まだ2015年は3分の1しか経っていないが、早くも2015年ベストアルバムか?という感じがする、そんな素晴らしい作品である。

Tracks:
01: トリプル! WONDERLAND
02: ときめきのヘッドライナー
03: 1000%の片思い (feat. Tomoki Ikeda)
04: クリームソーダ Love
05: サンシャイン日本海
06: 裸足のRainbow
07: 二人の遊戯
08: パジャマ・パーティー・ナイト
09: BLUE, GREEN, RED AND GONE
10: Space Nekojaracy
11: 自由に
12: 光のシュプール
13: ありがとうのプレゼント

Neil Young / Live At The Cellar Door

 1970年11月から12月にかけて、ワシントンD.C.のライブハウス、Cellar Doorで収録されたNeil Youngのライブアルバム。リリースは2013年。

時期的に”After The Gold Rush”がリリースされた後ということで、このアルバムからの演奏が中心となっている。完全なソロライブで、ピアノ、ギターの弾き語りによるアコースティックなもの。

このライブを聴いて、何といっても驚きなのは音質。よく34年前の作品にも関わらずこれほど臨場感のあふれる音源が残っていたな、というのが印象的である。特にアコースティックギターは、弦の1本1本までがはっきり聞き取れるほどだ。会場の「砂かぶり」とも言えるようなところで、目の前のニール・ヤングを見つめている、そんな錯覚さえ覚える。

初期の名作ぞろいが収録されているから、夜長にじっくり耳を傾けるのがいいと思う。

Tracks:
01: Tell Me Why
02: Only Love Can Break Your Heart
03: After The Gold Rush
04: Expecting To Fly
05: Bad Fog Of Loneliness
06: Old Man
07: Birds
08: Don’t Let It Bring You Down
09: See The Sky About To Rain
10: Cinnamon Girl
11: I Am A Child
12: Down By The River
13: Flying On The Ground Is Wrong

聴いたアルバムの簡単なレビュー。

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