一十三十一 / Snowbank Social Club

 2014年に発売された一十三十一の作品。「Surfbank Social Club」に続く、「Social Club」2作目。本作はタイトルからも分かるように、冬のリゾートがコンセプトになっている。

 ということで、この季節に聴くには本当にピッタリな作品である。私の様なバブル世代にとっては、1980年代後半の、ホイチョイ系のあの雰囲気が何とも都会的で懐かしさを感じる。冒頭のイントロから「Catch Me In The Snow」〜「Night Flight Telephone Call」〜「Winter Rouge Mellow」までは、特に仲間と一緒に車を走らせてスキーリゾートに向かう、あの懐かしいワクワク感を思い出す。中盤から後半は昼間から夜までの、スキーリゾートでの楽しい経験、ドキッとするような甘酸っぱい体験などを彷彿とさせる、そんな内容になっている。

 シティ・ポップ的な雰囲気という面では、土岐麻子にも通じるところもあるのだが、一十三十一の本作品ではヒップホップ系のアーティストの参加が多く、またこれらがなかなか良い融合なのである。「Night Flight Telephone Call」でのPunpee、「Park Suite」でのBTBの参加は一十三十一のポップ感に見事に溶け込んでいて素晴らしい。

 今年の冬はこの作品がヘビーローテーションになっていて、今後私にとって冬の定番ミュージックとなるのは間違いない。そう言う意味では、本作はユーミンの「Surf & Snow」と十分比較できる作品だと思うし、個人的には「Snowbank Social Club」の方が好き、である。この勢いだと、夏には前作の「Surfbank Social Club」を聴き込んでしまうだろう。夏も楽しみ。

Tracks:
01: Snowbank Social Club 1
02: Catch Me In The Snow ~銀世界でつかまえて~
03: Night Glight Telephone Call (feat. Punpee)
04: Winter Rouge Mellow
05: Silver Wind ~移りゆく季節~
06: Snow Storm Lonliness
07: Frozen Horizon
08: Chocolate Neverland
09: Diamond Dust
10: Snowbank Social Club 2
11: Park Suite (feat. BTB)
12: Awakening Town

Heatwave / Too Hot To Handle

 70年代に「多国籍グループ」として活躍したHeatwaveのファーストアルバムである(1977年作品)。

 あのRod Tempertonが在籍していたことでも知られる彼らの最大の魅力は、何といってもキャッチーなメロディーとバラードであろう。本作でもその魅力が堪能できる。
本作では、全米で大ヒットとなった”Boogie Nights”を始め、最強のバラード”Always And Forever”が素晴らしい。

 ”Boogie Nights”は、典型的な70年代ダンス・ファンクチューンだが、ファンクさにポップさを融合させた Rod Tempertonの手腕が見事に発揮されていて、まさに傑作という他ない。また”Always And Forever”は、ヴォーカル、メロディー、歌詞の全てが見事にマッチしていて、冒頭にも書いたが何回聴いても飽きることのない、ロマンティックで最強のバラード曲となっている。全体的に70年代っぽい雰囲気なため、新しさには欠けるが、この2曲を聴くためだけでも十分価値のある作品と言える。

Tracks:
01: Too Hot To Handle
02: Boogie Nights
03: Ain’t No Half Steppin’
04: Always And Forever
05: Super Soul Sister
06: All You Do Is Dial
07: Lay It On Me
08: Sho’nuff Music Must Be Luv
09: Beat Your Booty
10: Special Offer (Bonus Track)
11: Boogie Nights (7” Edit) (Bonus Track)
12: Slip Your Disc To This (Bonus Track)
13: Boogie Nights (Special Disco Version) (Bonus Track)

Clint Black / Put Yourself In My Shoes

 全米で200万枚以上を売った、Clint Blackの人気を不動なものにした1990年の作品である。

 彼の、あくまでトラディショナルなカントリーにこだわる姿勢はなかなか好感が持てる。アルバムのタイトル曲はスローなテンポの曲で、フィーチャーされているハーモニカと言い、彼のヴォーカルと言い、ニュートラディショナル・カントリーにふさわしい出来である。この種のアルバムでは良く登場するメキシコを意識した曲もきちんと”The Gulf Of Mexico”に収められている。

 ベストトラックは、2ビートに乗って軽やかに歌い上げる”The Nightlife”。Willie Nelsonにも同タイトルの曲があるが(これはWillieのものとは別の曲)、しっとりと歌い上げるWillieと違って、こちらはあくまで明るく楽しく、と言った趣。
ニュートラディショナルカントリーの中ではかなり優れた部類に入るアルバム。この種の音楽としては基本の1枚と言うことができる。

Tracks:
01: Put Yourself In My Shoes
02: The Gulf Of Mexico
03: One More Payment
04: Where Are You Now
05: The Old Man
06: The Nightlife
07: Loving Blind
08: Muddy Water
09: A Heart Like Mine
10: The Goodnight-Loving

Tony Bennett / Duets II

 2011年に発売されたTony Bennett御大の作品。Tony Bennettは、もう過去の人としか思われていないと思うのだが、これは完全な間違い。確かに伝説化したシンガーとは言えるが、87歳になった今もコンスタントにアルバムを発表し、精力的な活動をしているから驚きだ。もちろん、本国アメリカでは今でも人気シンガーである。

 本作は、一時期ブームにもなった「デュエット集」の、Tony Bennettにとって第2弾なのだが、メンバーが超豪華。Aretha Franklin、Willie Nelson、Natalie Cole、k.d.langと言ったヴェテランを始め、Lady GaGa、John Mayer、Michael Bublé、Amy Winehouseと言ったスターたちも参加。さすが歌手歴60年以上の人は違う。こういう企画ができてしまうのも、アメリカならではだろう。

 それにしてもTonyの声はいい。とても85歳(発売当時)のじいさんとは思えない、伸びのあるセクシーな歌いっぷりは見事。声の枯れ方もまた艶やか。この作品を聴くたび、こんなじいさんになれたらどんなに幸せか、と思う。

 さて作品の方だが、何と言ってもAmy Winehouseとの”Body And Soul”が特筆すべき作品だろう。調べてみると、Amy Winehouseが急逝する4ヶ月前に録音された、彼女の最後のレコーディング作品と言われている。この曲は1930年代のジャズ・スタンダードで、Amyの特徴のある声が今になってはどこか哀し気にさえ聴こえて来るから不思議である。
その他のお薦め曲としては、ショータイムの始まりとばかりに豪華なアレンジでアルバムの冒頭を飾る、Lady GaGaとの”The Lady Is A Tramp” 、Queen Latifahとの”Who Can I Turn To”、k.d.langと渋めにキメる”Blue Velvet”あたりか。また、余り評判は良くないみたいだが、個人的にはWillie Nelsonとの2人合わせて163歳コンビ(!!)の”On The Sunny Side Of The Street”や、歌いだしの瞬間彼女と分かるヘビーなAretha Franklinとの”How Do You Keep The Music Playing” (オリジナルはJames IngramとPatti Austin)もなかなか、と思う。

 アルバム全体の雰囲気は正統派ジャズヴォーカルアルバムと言う感じであり、年も暮れて来るとこういうタイプの曲を好んで聴く私にとっては必携の作品。ヒップホップ全盛の今でも、アメリカの音楽シーンはこういう「スーパースター」もしっかり支えているんだと言うことを改めて認識させられる、名盤である。

Tracks:
01: The Lady Is A Tramp (duet with Lady GaGa)
02: One For My Baby (And One More For The Road) (duet with John Mayer)
03: Body And Soul (duet with Amy Winehouse)
04: Don’t Get Around Much Anymore (duet with Michael Bublé)
05: Blue Velvet (duet with k.d. lang)
06: How Do You Keep The Music Playing (duet with Aretha Franklin)
07: The Girl I Love (duet with Sheryl Crow)
08: On The Sunny Side Of The Street (duet with Willie Nelson)
09: Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) (duet with Queen Latifah)
10: Speak Low (duet with Norah Jones)
11: This Is All I Ask (duet with Josh Groban)
12: Watch What Happens (duet with Natalie Cole)
13: Stranger In Paradse (duet with Andrea Bocelli)
14: The Way You Look Tonight (duet with Faith Hill)
15: Yesterday I Heard The Rain (duet with Alejandro Sanz)
16: It Had To Be You (duet with Carrie Underwood)
17: When Do The Bells Ring For Me (duet with Mariah Carey)

Hank Williams, Jr. / Mavericks

 Hank Williams, Jr.は、もちろんカントリーミュージックの基礎を築いたHank Williamsの息子であり、自身もカントリー界のスーパースターである。彼の場合、父の路線(父は「カントリーミュージックの父」と言われていた)とは少し違っているといえる。
1970年後半まではかなりストレートなカントリーも多く発表していたが、少しずつエレクトリックギターを中心としたスタイルとなり、80年代半ば以降はサザンロックの影響さえ感じるサウンドとなっている。1991年発表の本作もそんな流れの作品と言える。

 ”I Know What You’ve Got Up Your Sleeve”、”A Little Less Talk And A Lot More Action”などはかなりサザンブギ色の強いロックンロール。この2曲はGeorge Throgoodなどのハードめのストレートなロックンロール好きにもお勧めである。これ以外の曲はカントリー色も強く独特のゆったりした2ビートのカントリーを堪能できる。

 ロックンロールとカントリーは一見かけ離れていると思う人もいるかもしれないが、本作を聴くと改めてロックンロールはカントリーとR&Bから派生した音楽ということを感じることができる。

Tracks:
01: Come On Over To The Country
02: Lyin’ Jukebox
03: Wild Weekend
04: The Count Song
05: I Know What You’ve Got Up Your Sleeve
06: Hotel Whiskey
07: Fax Me A Beer
08: Low Down Blues
09: A Little Less Talk And A Lot More Action
10: Cut Bank, Montana

Joni Mitchell / Night Ride Home

 Joni Mitchellは、非常に地味ではあるが質の高いアルバムを期待通りに出してくれるアーティストである。1990年発表の本作もまさにそんなアルバムである。

 本作でベースになるのは彼女のヴォーカルと、彼女によるアコースティックギターのバッキングである。まるで明かりの少ない夜道をゆっくりとドライブしている、そんな錯覚に陥ってしまうような淡々とした楽曲でアルバムは進行して行く。冒頭のタイトルトラックは虫の音なんかも聴こえてきたりして、象徴的で心地良い。全体的にひっそりとした夜中にリラックスして聴くことができる作品である。

 派手さのない作品ではあるが、参加ミュージシャンはAlex AcunaやWayne Shorterなど、意外と有名どころを使っていたりして、特にWayne Shorterが参加している”Cherokee Louise”と”Ray’s Dad’s Cadillac”におけるサックスはこれらの曲をいっそう印象的なものにしていると思う。

Tracks:
01: Night Ride Home
02: Passion Play (When All The Slaves Are Free)
03: Cherokee Louise
04: The Windfall (Everything For Nothing)
05: Slouching Towards Bethlehem
06: Come In From The Cold
07: Nothing Can Be Done
08: The Only Joy In Town
09: Ray’s Dad’s Cadillac
10: Two Grey Rooms

Lynyrd Skynyrd / Southern By The Grace Of God

 1988年作品。ロニー・ヴァン・ザントの10周忌に、レーナード・スキナードは再結成ツアーを行った。これはその時のライブアルバム。ロニー以外はほとんどがオリジナルメンバーで、ヴォーカルはジョニー・ヴァン・ザントが担当している。

 何と言っても、レーナード・スキナードが全く変わっていなかった、という第一印象であった。「昔流行ったバンドの再結成」という雰囲気のない、気合いの入ったすばらしい演奏である。

 途中からは、38 SpecialのJeff Carlisiや、Charlie Daniels BandのリーダーであるCharlie Danielsといった面々がゲスト参加し、大サザンロック大会で盛り上がって行く。やっぱりサザンロックはライブに限るんである。

最後には、ジョニーの「この曲のリードボーカルは、観客の皆さんです」という一声で、名曲”Freebird”の演奏が始まる。これには泣ける。観客が演奏者と一体となってこのアルバムを締めくくる。ライブならではのテンションの高いロックンロールが聞ける名盤と言って良いだろう。

Tracks:
01: Workin’ For MCA
02: That Smell
03: I Know A Little
04: Comin’ Home
05: You Got That Right
06: What’s Your Name?
07: Gimme Back My Bullets
08: Swamp Music
09: Call Me The Breeze
10: Dixie/Sweet Home Alabama
11: Freebird

Maze featuring Frankie Beverly / Silky Soul

 1989年に発表された、Frankie Beverly率いるMazeのWarner移籍後第1弾のアルバム。アルバムのタイトル通り、全体が美しい絹の手触りのような雰囲気で覆われたアルバムである。

 アルバム冒頭のタイトル曲は一聴して分かる通り、マーヴィン・ゲイへのトリビュート曲である。歌詞が分からなくても、イントロから”What’s Goin’ On”っぽいのですぐに分かるだろう。
 2曲目以降も、スローからミドルテンポまでの、彼らならではのグルーヴ感は素晴らしい。特にアルバム前半の”Can’t Get Over You”でのうねり、スローナンバーの”Just Us”あたりのグイグイ腰に来るベースプレイなどは最高と言う他ない。

 後半はミドルテンポ中心になるが、どの曲もベースのうねりとリズムトラックがとっても良い。ギターソロもとてもカッコ良くて、ドキドキする様なファンクだ。”Love On The Run”、”Mandela”あたりが特に素晴らしい。

 日本での知名度があまりに低い彼らではあるが、本国アメリカではかなり人気のあるバンドである。1993年以来新作を発表しておらず、また2011年にメンバーのBug Williamsが死去したりで、活動は以前程活発ではないが、それでもツアーは毎年行っているとのこと。日本に来ることはまずないと思うが、是非とも彼らのグルーヴを間近で体験したいものだ。

Tracks:
01: Silky Soul
02: Can’t Get Over You
03: Just Us
04: Somebody Else’s Arms
05: Midnight
06: Love’s On The Run
07: Change Our Ways
08: Songs Of Love
09: Mandela
10: Africa

Isley Brothers / Spend The Night

 Isley Brothersの作品ではあるが、”featuring Ronald Isley”とある通り、実質的にはRonaldのソロアルバムと考えても良いかも知れない。プロデュース、ドラムプログラミング、コーラスに参加しているAngela Winbushが大活躍。”Between The Sheets”的な、トロトロのバラードからファンクナンバーまで、グイグイと聞き手を引き込んでゆく。

 バラード系では、タイトル曲の”Spend The Night”が何といってもベストトラック。ファルセット気味のRonaldのヴォーカルが何ともセクシーである。アップテンポの曲では、Kool Moe Deeのラップがフィーチャーされている”Come Together”、ソリッドな正統派ファンクナンバー”One Of A Kind”あたりが良い。

 全体的にバランスが取れた好アルバムだが、全般的には”Between The Sheets”で全面に出てきたバラード路線を更に押し進めた作品という印象が強く、Isley Brothersならではのファンキーなサウンドが印象に残りにくい感があって、それはちょっと残念。但し、バラード好きにはやっぱりお薦めな作品だと言える。

Tracks:
01: Spend The Night (Ce Soir)
02: You’ll Never Walk Alone
03: One Of A Kind
04: Real Woman
05: Come Together
06: If You Ever Need Somebody
07: Baby Come Back To Me
08: One Of A Kind (Reprise)

BOOWY / THE BEST “STORY”

 BOOWYが大流行したのは、確か1986年頃である。その頃私は学生生活を群馬県高崎市で過ごしていた。そう、まさにBOOWYのお膝元である。この頃は、高崎のBOOWY、前橋のROGUE、藤岡のBUCK-TICKという風に、群馬県出身のビジュアル系ロックが大流行していたが、高崎はやっぱりBOOWYなのであった。私は、彼らの音楽に接する機会は多々ありながらも、あまり興味がなかったので、進んで聴くことはなかったとは言っても、彼らのロックの中にあるメロディアスでポップな部分が嫌いではなかった。

 個人的にそんな思いのあるBOOWYだが、彼らの結成30年を記念して発売された2枚組、全32曲が詰まりに詰まったベストアルバムが発売された。(しかも3000円というお買い得価格!)

 事前にファン投票を募り、その結果収録曲が決定されている。
 今回の場合、人気第1位は「Cloudy Heart」、2位は「No. New York」だったとのこと。え?「マリオネット」とか「わがままジュリエット」とか「ONLY YOU」じゃないの? とか思うのだが、まあこれも私の主観。ファン投票をしているファンの方達の総意は、Cloudy Heartであり、No. New Yorkだということなのだろう。
 ともあれ、上位に選ばれた記念ということなのか、この2曲についてはライブバージョンの収録もされている。

 それにしても、こうして改めてBOOWYの歴史を紐解いてみると、初期の粗削りさが新鮮だったなあと思う。BOOWYが全国的に有名になって来ると、少しずつソフトな曲調の曲が出だして、氷室京介の艶やかなヴォーカルが魅力的になって来るところなどの変化が楽しめるし、布袋寅泰のギターはエッジが効きながらも、実は意外と細やかだっていうことも改めて分かったりする。

 幸いなことに、BOOWYは7曲しかシングル曲を発表していないので、その7曲はすべて収録されているし、それ以外にも結構知ってる曲があったのも収穫。ファンにとってはバージョン違いも収録されているので、選曲としてはよいと思う。わずか6年間の活動期間という割には日本の音楽史(ロック史)に大きな足跡を残したBOOWYの集大成と言っても良いだろう。あとはライヴアルバムを聴くべし。

聴いたアルバムの簡単なレビュー。