The Rolling Stones / Blue & Lonesome

みんなが待ち望んでいたストーンズのニューアルバムがとうとうリリースされました。
2015年の”A Bigger Bang”以来、11年ぶりのスタジオ作品です。

とここまで書いてお断りしてしまうのもなんですけど、実は私、それほどストーンズに強い思い入れを持っておりません。嫌いなわけじゃないんですけど、決して熱狂的なファンではありません。

でもこの作品は期待しておりました。
と言うのは、本作が彼らのルーツであるブルースに立ち返った作品と聞いていたからです。

しかし。私は本作について重要な情報を聞いていなかったため、ものすごく良い意味で裏切られました。

それは、「このアルバムはカバーアルバムである」ということでした。

もとはBuddy Johnsonの曲で、Little Walterのカバーで知られる”Just Your Fool”に始まり、Howlin’ Wolf、Memphis Slim、Magic Sam、Jimmy Reedと言ったスターの曲を次々と演奏していくストーンズ。ストーンズの活動はブルースバンドということはうっすら知ってたけれど、これくらい徹底的に攻められると、「これはイイ!」としか言いようがないです。演奏もさることながら、ヴォーカルがとてもカッコいい。さすがミック。

最後のは私の大好きなOtis Rushの”I Can’t Quit you Baby”で締めてくれます。しかもエリック・クラプトンがギターで参加。クラプトン氏は”Everybody Knows About My Good Thing”ではスライドギターを聴かせてくれます。
この選曲は全くもって私好みで(もちろん全曲知ってるわけじゃなかったですけど)、何度もリピートで聴いてしまいます。

しばらく愛聴していくでしょうし、これを機にもう一度いろんなブルースのアルバムをひっくり返して聴いてみようと言うキッカケにもなりました。

ストーンズの熱狂的なファンはこの作品をどう評価してるのか、気になるところです。

Tracks:
01: Just Your Fool
02: Commit A Crime
03: Blue And Lonesome
04: All Of Your Love
05: I Gotta Go
06: Everybody Knows About My Good Thing
07: Ride ‘Em On Down
08: Hate Yo See You Go
09: Hoo Doo Blues
10: Little Rain
11: Just Like I Treat You
12: I Can’t Quit You Baby

Bob Dylan / Tempest

2012年、ボブ・ディランデビュー50周年の節目に発表された作品。
この作品がリリースされた当時のディランは71歳。もう完全なおじいちゃんな訳だが、神様とも呼ばれたこの人は、通算35作目となる本作でもオリジナル作品を世に送り続ける。これはすごいことだと思う。

アルバムの全体のトーンは、かなり重い。「暗い」と言っても良いだろう。歌詞も人の死を彷彿とさせるものが多くて、普通なら滅入ってしまうのだが、70を過ぎてもなおロックし続ける男が、ブルースを織り交ぜながら奏でるメロディーに心落ちつかされる。1曲目の”Duquesne Whistle”のイントロを聴いただけで心が踊ってくる。ディラン節なんて言われたあの畳み掛けるようなヴォーカルも”Narrow Way”を聴いてわかるように、全く衰えなしだ。”Early Roman Kings”なんかもその一例だが、これなんかは1950年代辺りのブルースまんまで、David Hidalgoのアコーディオンがかなりいい味を出している。
“Tempest”は、タイタニック号の沈没事故を歌った、14分近い大作。ストーリーテラー的に歌うディラン。昔ながらのアメリカ音楽と言っても良くて、このアーシーさに惹かれてこの曲を何度も繰り返し聴いてしまう。最後を飾る”Roll On John”は、ジョン・レノンのことを歌った曲で、これも彼が世界的に有名になる前から死までのことを歌い上げている。

こんな感じなので、結局のところはボブ・ディランが「死」について取り上げた作品なのでは、と思ったのである。重いわけだ。どんどん嗄れてくる彼のヴォーカルにも人生の重みを感じる。
若い人にはこういう作品はあんまりお勧めできないが、人生のシワを年齢とともに積み上げてきて、甘いも酸いも分かってきた大人の方々にはグッとくる作品だろう。

Tracks:
01: Duquesne Whistle
02: Soon After Midnight
03: Narrow Way
04: Long And Wasted Years
05: Pay In Blood
06: Scarlet Town
07: Early Roman Kings
08: Tin Angel
09: Tempest
10: Roll On John

Kashif / The Definitive Collection

先頃亡くなったKashifの、1996年発表のベストアルバムをご紹介。

KashifはB. T. Expressの中心メンバーとして1970年代半ばから活躍していたアーティストで、1980年代にソロに転じてからはシンガーとして、またアレンジャー、プロデューサーとしてブラック・コンテンポラリー・ミュージックを牽引した貢献者です。特にプロデューサーとしてはGeorge Benson、Evelyn “Champagne” King、そして何と言ってもWhitney Houstonの作品において才能をいかんなく発揮しました。

シンガーとしては日本ではあまり商業的に成功はしませんでしたが、このベストアルバムを聴いてお分かりの通り、ヴォーカリストとしても相当な実力者です。冒頭のヒット曲” I Just Gotta Have You (Lover Turn Me On)”から始まり、バラード曲の”Are You The Woman”、懐かしいMelba Mooreもデュエットで参加の”Love The One I’m With (A Lot Of Love)”、ラップ要素が入った”Loving You Only”など、1980年代のブラック・ミュージックのエッセンスが濃い密度で詰まったセレクションになっています。

まだ60歳という若さで彼をなくしたのは非常に惜しい。もっと活躍して欲しかっただけに残念ですが、この70分の音楽集を楽しんでいこうと思います。

Tracks:
01: I Just Gotta Have You (Lover Turn Me On)
02: Help Yourself To My Love
03: Are You The Woman
04: Stone Love
05: Dancing In The Dark (Heart To Heart)
06: Love The One I’m With (A Lot Of Love)
07: Baby Don’t Break Your Baby’s Heart
08: Condition Of The Heart
09: Reservation For Two
10: Love Me All Over
11: Loving You Only
12: Ain’t No Woman (Like The One I Got)
13: Love Changes
14: Personality

The Neville Brothers / Family Groove

1992年発表の作品。超名作だと思ってるのにこのブログでは今まで全く触れてなかったので紹介します。

特に80年代後半辺りから来日公演などでライブバンドとしての実力を示して来たMeville Brothersですが、本作はBrother’s Keeper以来のスタジオアルバム。

本作がリリースされる際に話題になったのは、冒頭の”Fly Like An Eagle”。言わずもがなSteve Miller Bandの大ヒット曲。オリジナルはシンセサイザーが被った、少しサイケな雰囲気ですが、このNeville BrothersバージョンはNevilleらしい見事なファンクナンバーに仕上がっています。このアレンジは秀逸で、一番の聴きどころ。
その後の”One More Day”以降もカッコいいファンクのオンパレード。”Day To Day Thing”や”Family Groove”あたりは魂が踊らされます。
その他、ちょっとラテン的な雰囲気を感じる”On The Other Side Of Paradise”、Aaron Nevilleのヴェルヴェット・ヴォイスが全面フィーチャーされる”Take Me To Heart”、”True Love”もなかなか良い作品。ただ、”Tell It Like It Is”などに代表されるAaronのトロトロのバラードが大好き、と言う人は若干物足りないと思うかも知れません。
あと是非聴いて欲しいのは、”Saxafunk”。タイトル通り、Charles Nevilleのサックスをフィーチャーしたインストナンバーで、今でもよくライブで演奏されます。Charlesの妖しいサックスプレイがバックのニューオリンズビートによく合って気持ち良いです。

Tracks:
01: Fly Like An Eagle
02: One More Day
03: I Can See It In Your Eyes
04: Day To Day Thing
05: Line Of Fire
06: Take Me To Heart
07: It Takes More
08: Family Groove
09: True Love
10: One The Other Side Of Paradise
11: Let My People Go
12: Saxafunk
13: Maori Chant

Eugene Wilde / How About Tonight

もはや死語となった「ブラコン」のジャンルでも、かなり人気のあったユージン・ワイルドの1992年作品。
ユージン・ワイルドは正直日本での人気は今ひとつだったものの、本国アメリカでは結構人気だったヴォーカリストで、トップ40ヒットこそほとんどないが、R&Bチャートでは常連。人気のピークは80年代後半で、本作がリリースされた90年代前半はすでにピークを過ぎていたものの、それでも魅力のあるヴォーカルを聴かせてくれています。

当然のことながら、彼の持ち味であるミドルテンポ〜バラード系の曲を中心に構成されていて、とても聴きやすい。”Angel”でMarvin Gayeの”Your Precious Love”のフレーズが出てきてニヤッとさせられたり、心地よいポップなナンバー(“Special Feelings”など)、当時流行した、電子ドラムを多用したアップテンポなナンバー(“Loyal To You”)など、1980年代の洋楽好きには懐かしい雰囲気のナンバーが続いていて、いい感じ。ノスタルジーすら覚えるかも知れません。

秋の夜長に落ち着いた気分で聴くのもよろしいかと。

Tracks:
01: How About Tonight
02: If Only You Know
03: Angel
04: Special Feelings
05: Whenever You’re Ready
06: You Are So Beautiful
07: So In Love
08: Paradise
09: Loyal To You
10: Lost And Lonely
11: How About Tonight (Quiet Storm Version)

聴いたアルバムの簡単なご紹介。

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