山下達郎 / POCKET MUSIC

 1986年の作品。前作「MELODIES」頃からタイアップ曲が増えてきたような気がする。本作では、ひょうきん族の主題歌「土曜日の恋人」と、車のCM曲となった「風の回廊」が特に有名かと思われる。

 彼の作品を聴いていると、日本のポピュラーソングの王道を突き進んでいるような作品が多い。本作ももちろん例外ではない。アメリカンポップに強く影響された曲作りと十分に練られたアレンジの周到さには感心させられる。特に管楽器 (フリューゲルホーン、ソプラノサックス)の使い方が秀逸である。

 全般に聴けるコーラスワークの素晴らしさは言うまでもないが、本作では特にはじけるようなミッドテンポのポップナンバーが特に気に入っている。「MERMAID」「メロディー、君の為に」の2曲だ。その一方しっとりとした「シャンプー」「POCKET MUSIC」の美しさは絶品。
 余談だが、「シャンプー」は山下久美子やアン・ルイスがカバーしているが、こちらも是非聴いて欲しい。

 「THE WAR SONG」は、山下達郎の曲ではちょっと異色な、戦争に対する直接的なメッセージ。個人的にはNeil Youngのそれに通じるものを感じながら聴いている。

 このアルバムは、山下達郎が初めてコンピュータを本格的に導入した作品である。しかし生の音を充分に生かしているところは、さすがデビュー以来長年にわたって日本のポップシーンの最先端を走ってきただけのことはあると言える。

Author: tomyt

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