山下達郎 / 僕の中の少年

 1988年発表の作品で、山下達郎の数多いアルバムの中でも内省的な作品が多いといわれている。
 また、本作品当たりから、CMやテレビ番組主題歌などとのタイアップ曲が多くなってきている、というのも特徴的である。
「踊ろよ、フィッシュ」「マーマレード・グッドバイ」「The Girl In White」(これは確か、後にこの曲をカバーする黒人のコーラスグループ、14カラットゴールドがCM出演していた)がCM曲、「ゲット・バック・イン・ラブ」はTBSのドラマの主題歌(「海岸物語」)としてヒットした。

 アルバム全体の構成としては、キャッチーなサウンドと重めのサウンドが非常にいいバランスを取っているというのが第一印象。アルバムの前半はどちらかというと前者、後半は後者、という流れになっている。後半の重めの展開(具体的には6曲目以降、「ルミネッセンス」〜「蒼氓(そうぼう)」「僕の中の少年」)は、山下達郎の今までの作品にはなかった、非常にコンセプチュアルなもので、「夏と言えば山下達郎」のような、1980年代前半当たりのイケイケ状態からの決別みたいなものを感じた。特に「蒼氓(そうぼう)」は、あちこちで名曲との呼び声が非常に高く、ライブにおいても10分くらいの大作になるらしい。

 本作は、それ以降にリリースされた彼の作品のベースとなるようなものだと言える。そう言う意味では、山下達郎の音楽活動の歴史では絶対に外せない一作であり、名作なのである。

Tracks:
01: 新・東京ラプソディー
02: ゲット・バック・イン・ラブ
03: The Girl In White
04: 寒い夏
05: 踊ろよ、フィッシュ
06: ルミネッセンス
07: マーマレード・グッドバイ
08: 蒼氓
09: 僕の中の少年

Author: tomyt

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