本作ご存知、2007年2月に行われたグラミー賞で、主要部門を総なめしたアルバムです。日本盤でもそこそこの人気だそうですし、発売後1年間が経っているので、そろそろ各地のレンタルCD店でもお目見えしているかもしれません。
本作は、ドラム等のリズムセクションを排してアコースティック色の強かった「HOME」以来、ライブアルバムを挟んで4年ぶりのアルバムです。
本作で特徴的なのは何と言ってもプロデューサーにRick Rubin ( Red Hot Chili Peppers や Metallica のアルバムのプロデュースをしていることで有名) を起用したロック色のある内容。前作とは対照的です。この点は多くの曲で前作との曲調の違いを明確に感じることができますし、最後の “I Hope” のR&Bっぽさは、今まで彼女らが表現していた曲調とは全く異なるものです。
といっても変わったところだけではなく、Natalieのリードヴォーカルは相変わらず説得力があり、強く、魅力的な声です。前作の発表後、ブッシュ大統領に対するあの発言に対しての保守的カントリーファンからのブーイング、嫌がらせ、不買運動などといった非難の多くを見事に跳ね返し、アルバム内の”Not Ready To Make Nice”での、こういった勢力に対する真正面からの返答「今でも死ぬほど怒っている、決して許さない」と歌で言いのけてしまう彼女の強さ…これには感服するばかりです。今年のグラミー賞でのパフォーマンスで彼女たちが、あれだけの批判を受けた彼女たちが多くの観衆前で演奏し、スタンディングオベーションを受けるのを見たときは、正直涙が出てしまいましたし、背筋にゾクゾクするものを感じたのを良く覚えています。
そんな訳で、カントリーアルバムというよりは、アコースティック系のロックアルバムとして楽しむのが正しいような気がします。しかし、当然のことながら従来のカントリーファンにも十分楽しめる内容になっています。なぜなら、あの力強い意志を持ったDixie Chicksが帰ってきたのですから。
Tracks:
01: The Long Way Around
02: Easy Silence
03: Not Ready To Make Nice
04: Everybody Knows
05: Bitter End
06: Lullaby
07: Lubbock or Leave It
08: Silent House
09: Favorite Year
10: Voice Inside My Head
11: I Like It
12: Baby Hold On
13: So Hard
14: I Hope