1987年に発表された、渡辺満里奈のデビューアルバム。
恥ずかし気もなく書かせてもらいますが、当時大学2年生であった私はこのアルバムを予約し、発売日に授業をさぼってレコード店の開店時間に買いに行きました。かれこれ20年以上前の話なんですが、良く覚えています。
初めて聴いた時と今聴いてみた時の印象はあまり変わっていない。歌唱力は二の次と考えて、それぞれの曲の出来が本当に良いのです。歌詞、メロディ、アレンジ、ヴォーカルのバランスが非常に良く取れているのです。当時、彼女と同じようにおニャン子クラブから多くのアイドルが誕生してソロアルバムを発表していたのですが、満里奈ちゃんの本作の出来は群を抜いていました。
あまり個々の歌詞についての解説を云々してしまうとオタク系アイドル雑誌のようになってしまうのでここでは割愛しますが、彼氏が初めて遊びに来るドキドキ感を見事に表現している「ホリデイ・ビジター」から、ウサギ年の元旦にシングルが発売された季節もの (でも素晴らしい)「ホワイトラビットからのメッセージ」の展開が今でも嬉しい。
そして今でも1980年代最高のアイドル系歌謡曲の1曲と信じて疑わない彼女のデビューシングル、「深呼吸して」。何が良いって、シンプルな歌詞で女の子の素直な気持ちを表現しているところです。これは、秋元康の歌詞もさることながら、シンプルな打ち込み中心の音に仕上げた新川博のアレンジの秀逸さが光ってのことだと思います。時代の流れは早く、21世紀風では決してないのですが、1980年代に淡い青春時代を過ごした我々に取ってみれば、まさに懐かしさを覚える歌詞です。満里奈ちゃんの不安定なヴォーカルも持ち味。ちなみにこれはいまだに私のカラオケの持ち歌の一つです。
さすがに「常に持ち歩きたいアルバム」には選ばれることはないでしょうが、恥ずかしささえなければ、できれば持ち歩きたいなぁと思っているアルバムです。名作。
Tracks:
01: ホリデイ・ビジター
02: ホワイトラビットからのメッセージ
03: 裸のクレヨン
04: 涙の天気予報
05: 星空のピンボール
06: クリスマスが来るまえに
07: ジェリービーンズのロマンス
08: ハートでCatch
09: 受話器から望遠鏡
10: 深呼吸して
11: 月夜のピアニスト
12: See You