Ledisi / For Dinah

R&Bシンガーとして2000年にメジャーデビューしたレディシー。個人的には2007年にヒットした “Alright” という曲で彼女の存在を知り、その歌唱力にすごいと思ったものでした。

今年4月にリリースされたオリジナル・アルバム “The Crown” に続くアルバムです。また、2021 年にリリースされたニーナ・シモンに続く、ダイナ・ワシントンへのトリビュートアルバムが本作になります。

収録は全8曲。ベースのクリスチャン・マクブライド、ピアノのザビエル・デイヴィスあるいはマイク・キング、ドラムスのマクレンティ・ハンターのトリオをバックにレディシーが歌うというスタイルですが、曲によってはホーン・セクションが入り華を添えてくれます。

レディシーのヴォーカルは情感たっぷり。冒頭の “What A Difference A Day Made” での実に美しいヴォーカルで完全にノックアウトされてしまいます。コール・ポーター作の “Let’s Do It” での跳ねるホーン・セクションをバックに歌うレディシーも素晴らしい。

ダイナ・ワシントンがブルック・ベントンとデュエットしヒットした “You’ve Got What It Takes” ではグレゴリー・ポーターがブルック・ベントン役として共演し、ヴォーカルもさることながら掛け合いもオリジナルさながらのゴージャスな出来になっています。

“You Go To My Head” では一転、ギターだけをバックに歌い上げます。ギターはポール・ジャクソン・ジュニア。

“The Bitter Earth” は個人的にも大好きな曲で、この曲をアルバムの最後に持ってきてくれたのがとても嬉しいのですが、抑え気味のトリオの演奏に途中からストリングが絡んでくる雰囲気がとても素晴らしくて、「生きていくことの苦しさや痛みがあっても、きっと誰かが見てくれている」と歌うレディシーの感情こもったヴォーカルにグッときます。

アルバム収録バージョンとは異なりますが、”The Bitter Earth” のSam Philips SessionバージョンというものがYouTubeにありましたので、こちらでご紹介しておきます。もううっとりです。

正直、彼女がここまで素晴らしい表現力でダイナ・ワシントンの楽曲を歌い上げるとは思いませんでした。その点含めて満点に近い作品だと思いました。寒い夜長に何度も聴いてみたくなる作品です。

Tracks:
01: What A Difference A Day Made
02: If I Never Get To Heaven
03: Caravan
04: Let’s Do It
05: You Don’t Know What Love Is (feat. Christian McBride)
06: You’ve Got What It Takes (feat. Gregory Porter)
07: You Go To My Head (feat. Paul Jackson, Jr.)
08: This Bitter Earth


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