1992年発表のZZ Topのベストアルバム。1972年リリースのデビューアルバム”ZZ Top First Album”から1990年の”Recycler”まで、19年間で10枚(少ない!!)のオリジナルアルバムからピックアップされている。ZZ Topでしか演奏できない独特のブギー・ロックンロールを心ゆくまで堪能することができる。
典型は冒頭の”Gimme All Your Lovin'”から”Sharp Dressed Man”の流れだ。シンプルに8ビートを刻み続けるFrank Beardのドラムス、同じくシンプルなベースラインを弾き続けるDusty Hill、そして基本はシンプルながらも時々派手に決めるBilly Gibbonsのギター。これだけシンプルでドライブ感たっぷりのかっこいいロックンロールを演奏できるバンドはそういない。ZZ Top初期の名作”Tush”にしてもしかりだ。あたかもアメリカのフリーウェイ(しかもテキサスあたりの)をすっ飛ばしながら聴くには最高の演奏だと言える。こういう乾いたアメリカン・ロックのサウンドを聴いてると、バンドやりたくなるなあ、という爽快なサウンドが続く。
収録された18曲のうち、1973年のアルバム”Tres Hombres”からのものが1曲、1975年の”Fandango”から1曲、1979年の”Degüello”から2曲、1981年の”El Loco”から2曲、1983年の”Eliminator”から4曲、1985年の”Afterburner”から3曲、1990年の”Recycler”から3曲、新曲が2曲という構成で、やや後期作品に片寄りすぎている嫌いがあるが、彼らの歴史を考えるとしかたのない構成ではないかと思う。
新曲のうち”Viva Las Vegas”は本アルバムの中でもZZ Topらしさの出た佳曲で、1980年代半ばから多用し始めたシンセサイザも彼ららしく、なかなかカッコイイ。また彼らにとって一番の大ヒットと言える(またフロントの2人がギターやベースをクルクル回しながら演奏するミュージックビデオでも笑わせてくれた)”Legs”は、Eliminatorに収録されたオリジナルバージョンではなく、今までリリースされたことのなかったダンスバージョン。彼ららしいドライブ感にやや欠けるバージョンではあるが、ZZ Topのようなロックバンドの曲でもこんなバージョンが作られた、というおまけとして聴く分には良いかも知れない。
あと、バタくさい、「ヤンキー娘」と言う言葉がピッタリのアメリカン・ガールズ達があちらこちらに写っているアルバムジャケットも、彼らならでは。まあそれにしてもアルバムジャケットもZZ Topらしい。
Tracks:
01: Gimme All Your Lovin’
02: Sharp Dressed Man
03: Rough Boy
04: Tush
05: My Head’s In Mississippi
06: Pearl Necklace
07: I’m Bad, I’m Nationwide
08: Viva Las Vegas
09: Doubleback
10: Gun Love
11: Got Me Under Pressure
12: Give It Up
13: Cheap Sunglasses
14: Sleeping Bag
15: Planet Of Women
16: La Grande
17: Tube Snake Boogie
18: Legs