1986年9月にリリースされた、Miles Davisのアルバムです。私がMiles Davisをリアルタイムのアルバムとして聴いた初めての作品。
当時既にマイルスは神格化されたような存在で、今度はどんなアルバムをリリースするのだろうと皆が期待していたものでした。底にリリースされた “Tutu”。本作の1曲目の”Tutu”を聴いて、「かっこいい!!」と大感激したものです。ゆったりした今風のイントロが続き、いつマイルスが出てくるんだ!としばらくじらされた後。静かにマイルスのミュートを聴かしたトランペットが登場。
おお、すごい存在感。
すごいテクニックを駆使する訳ではないのに、この存在感は何なんだ!と驚いたものです。どっしりとした余裕のプレイ。 この”Tutu”は何回聴いても素晴らしい演奏だと思いました。
それ以外に驚いた選曲は、”Perfect Way”。ご存知の向きも多いと思いますが、イギリスのポップ・グループ Scritti Politti の大ヒット曲です。オリジナルと比べるとポップ色は薄くなってはいるものの、こんな現代的なポピュラー音楽も柔軟にこなしているマイルスのすごさ、そしてうまさ。良く聴くとオリジナルに結構忠実なのですが、完全にマイルスのナンバーに仕上がっています。
あまりに名作の多いマイルスのこと、このアルバムはそんな名作の影に埋もれてしまいがちなアルバムかもしれないのですが、現代音楽とジャズの融合を見事に表現している彼の素晴らしさをつくづく思い知らされました。
Tracks:
01: Tutu
02: Tomaas
03: Portia
04: Splatch
05: Backyard Ritual
06: Perfect Way
07: Don’t Lose Your Mind
08: Full Nelson