Billy Joel / The Bridge

 前作 “Innocent Man” で50〜60年代風の曲に挑戦したBilly Joelが、1986年に発表したロックアルバム。「正統派」。これがこのアルバムに対する第一印象だった。非常にシンプルなバンド構成で、小気味良いロックンロールを聴かせてくれる。プロデューサはPhil Ramone。

 このアルバムには、映画 “Ruthless People” の主題歌として、アルバム発表前に大ヒットした”Modern Woman”を収録している。またこのアルバムとしての第一弾シングルは”A Matter Of Trust”で、これも大ヒットした。この曲を聴いた時は、冒頭の”One, Two, One, Two, Three, Four”のかけ声が何とも言えぬ節回しで笑えたが、良く聴けばなかなか良い曲である。

 ”Baby Grand” は、Billy Joelが小さい頃のアイドルでもあったRay Charlesとの競演作である。Ray Charlesは、彼らしい枯れたヴォーカルだけでなく、(もちろん)見事なピアノをBilly Joelと共演してくれる。当然とはいえ、このアルバムの最大のニュースであり、もちろん一番の聴き所である。
競演と言えば、アルバムの最後に収められている “Getting Closer” は、Billy Joelが長年のファンであったSteve Winwoodとの共演。Steve Winwoodのハモンドオルガンのプレイは何度聴いてもやっぱりすごく、Billy Joelのヴォーカルとの掛け合いはこのアルバムのもう一つの聴きどころでもある。

 このアルバムは、ある意味ゲストミュージシャンの参加が話題になりがちであるが、あくまでロックを貫く彼の姿勢が良く出ていると思っている。強いて残念なところと言えば、他のアーティストとの競演曲以外は、良い曲が多いものの地味な感じが否めないところか。しかし、全体的には聞けば聞くほど良い内容だと思う。地味かどうか、というのも、前作の “Innocent Man” や、その前の “Glass House” などとの対比で語られると、仕方がないか。

Author: tomyt

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