Richard Marxの記念すべきデビューアルバム (1987年発表)。元々はコマーシャルジングルのシンガーを経験していて、その後Lionel Richieの作品のバックヴォーカルなども担当していた彼のデビューシングル、”Don’t Mean Nothing” は、当時MTVなどでも頻繁にオンエアされ、とても印象に残っている。いかにも西海岸ロックと言った感じの明るいギターを中心にした乾いたバックトラックにRichard Marxのハイトーンヴォーカル、そして美しいコーラス。まさにこれがウエストコーストロック、という面持でとてもよい気分にさせてくれた。そして嬉しかったのは間奏でうなるスライドギターを聴かせるJoe Walsh。爽やか、と言う感じではないが、ウエストコーストを代表するロックバンドであるイーグルスの、この手の音楽ファンなら聴いてすぐ分かるJoeのスライドはとてもかっこいい。気分は夏、と言った感じのこの曲は、やはりこのアルバムのベストトラックであると言えよう。
その他にも典型的なカリフォルニアロックが中心のアルバムで、とてもイイ感じである。
お決まりのバラード”Hold On To The Nights”は、ピアノを中心とした曲にまとまっていて、間奏のヨーロッパ系ヘビメタっぽいイコライザーを使用したギターソロもきれいに聞こえる。 Richard Marxのヴォーカリストとしての才能もこの曲で存分に発揮されている。
ウエストコーストといえばお決まり!のEaglesの参加も、前述したJoe Walshを始め、この系列のアルバムのバックコーラスでは必ず顔を見せるTimothy Schmitの他、Randy Meisnerまで参加、というほぼフルメンバー。
西海岸ロックのお手本と言う感じのアルバムだけに、この種の音楽が好きでない人には勧められないが、多くの人に勧められると思っている。
ベストアルバムも当然お勧めだが、まずは本作から聴き込んで行くのがよろしいと思う。