1982年の作品。基本的にDavid Lindleyの作品は理屈抜きに楽しめるのであるが、なぜか本作については身体が自然に動きだす様な、あの雰囲気が不思議と少ない気がするのがこの作品の特徴である。本作に収められている “Turning Point”、”Spodie”、”Talk To The Lawyer”と言ったところは、ライブではかなり盛り上がる曲なのだが、オリジナルのスタジオ録音であるこのアルバムでは、どちらかというと地味な位置づけになってしまっている。
理由ははっきりしないのだが、抜けきった明るさを感じさせない何かがあるのだろう。私は、上述した曲が、ライブではドライブ感のあるテンポがあるのに対し、アルバムでは若干スローテンポになっているからではないか、と思う。
とは言っても、聴き様によっては、ニューオリンズR&Bの名曲で、無数のアーティストが取り上げている “Brother John”でのゆったりとしたレゲエ調のリズム、それ以外の曲もアメリカン・ロックを彼らしく「楽しく」アレンジしているところなど、聴き所は多い。ただ、ライブ感に欠けている感は否めないので、脳天気に楽しむならライブアルバムか、本作以外のスタジオ作品の方がお勧めかもしれない。
なお、”Turning Point”には、あのBooker T. Jonesがオルガンで参加しているので、その筋に興味のある方は是非どうぞ。