アメリカを代表する女性カントリーシンガーであるエミルー・ハリス。活動歴も長く、また他のアーティストとの共演がとても多いので、彼女のベスト盤はどれが良いのか、かなり悩みます。アンソロジー的なものは曲数が多くて初めて聴く人にはしんどいでしょうし、1枚の10曲程度のものでは物足りなく感じるでしょう。そこで色々と検討した結果、正直完璧なものはありませんが、2005年に発売されたこのアルバムが一番良いのではないかという結論に達しました。
エミルー・ハリスのキャリアで忘れてはならないのが、ザ・バーズやザ・フライング・ブリトー・ブラザーズにも在籍していたグラム・パーソンズとの共演です。彼がこの2つのバンドを離れソロ活動を開始した1970年からはエミルー・ハリスとのツアーを行い、また共演作も多く出しています。グラム・パーソンズは1973年に麻薬のオーヴァードーズにより26際の若さで亡くなるのですが、彼の遺作であるアルバム ”Grievous Angel” に収録された ”Love Hurts”(エヴァリー・ブラザースのカバー)が収録されています。
その他、デザート・ローズ・バンドのオリジナルメンバーでもあるハーブ・ペダーソンとのデュエット ”If I Could Only Win Your Love” (75年全米58位、全米カントリー4位)、ロイ・オービソンとのデュエット曲 ”That Lovin’ You Feelin’ Again” (80年全米55位、全米カントリー10位)なども収録されています。
(余談ですが、私の初ロイ・オービソンは、この “That Lovin’ You Feelin’ Again” でした)
更には全米カントリーチャートで1位となり、日本でもジャックダニエルズのCM曲として使われた “Beneath Still Waters” など、実は日本でも無意識に流れていた曲なんかも収録されています。
彼女の唯一のトップ40ヒットである “Mister Sandman” はドリー・パートン、リンダ・ロンシュタットとの共演で話題になり、コーデッツやフォー・エーシズのカバー曲でもあり日本でもオールディーズファンに人気のある名曲なのですが、これは収録されていないのが非常に惜しいところです。しかし、カントリーチャート1位を連続していたピークの1979-1981年頃のヒット曲はほぼ網羅されているので、ほぼ満点に近いベスト盤と思っています。もし彼女のナチュラルな歌声に魅せられたら、彼女の音源はたくさんあります(Allmusicによれば、彼女のスタジオ録音アルバムは26枚もあります)ので、深く聴いて行っても良いのではないでしょうか。
Tracks:
01: Love Hurts
02: Boulder To Birmingham
03: Making Believe
04: Pancho & Lefty
05: One Of These Days
06: (Lost His Love) On Our Last Date
07: Born To Run
08: Beneath Still Waters
09: If I Could Only Win Your Love (with Herb Pedersen)
10: Together Again
11: That Lovin’ You Feelin’ Again (with Roy Orbison)
12: To Know Him Is To Love Him
13: Two More Bottles Of Wine
14: Wayfaring Stranger
15: Calling My Children Home (Live)
16: Orphan Girl
17: Michelangelo
18: Here I Am
19: The Connection
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