1962年にリリースされた、ウェス・モンゴメリーの代表作と言える作品です。
参加メンバー
Wes Montgomery – guitar
Johnny Griffin – tenor sax
Wynton Kelly – piano
Paul Chambers – bass
Jimmy Cobb – drums
1962年6月25日に、カリフォルニア州バークリーのTSUBOというジャズクラブ(コーヒーショップとも言われていますが、アルコールを提供していなかったらしいからでしょうか)で収録されたライブ作品。
ご存知の方も多いと思いますが、ウェスはワンフィンガー奏法とも言われる、右の親指1本だけを使って弦をピックする奏法でよく知られています。また、オクターブ奏法も有名ですね。
今回ご紹介しているのは1987年にCD化されたときのもので、オリジナルLPに収録された6曲に、3曲のボーナストラックが追加されています。
本作の聴きどころは、やはりウェス自身のギターテクニックでしょうか。上述したワンフィンガーやオクターブ奏法を駆使した、ギタージャズらしいメロディアスな曲たち。正直、オクターブ奏法については、この作品より後に発表された作品群のほうがすごいような印象もありますが、本作でもなかなか素晴らしいプレイを聴かせてくれます。タイトル曲 “Full House” と “Cariba” が好きなのですが、名演と言って良いのは “I’ve Grown Accustomed To Her Face” での美しいソロで、特におすすめです。
私は、緊張感があって、グイグイ引き込まれてしまうようなエネルギッシュな演奏が好きなので、私に同意してくれる方には “Blue ‘N’ Boogie” がおすすめ。ジョニー・グリフィンの熱のこもったソロ、ポール・チェンバースの暴れっぷり(褒めてます)で、ベースは打楽器でもあるんだ!とつくづく感じさせてくれる曲です。収録曲では一番ギターが目立たない作品なんですが、この曲が一番好きかな、と思います。
ボーナストラックの3曲の中では、メル・トーメとロバート・ウェルズ作のスタンダード曲 “Born To Be Blue” の美しさが素晴らしいです。当初アルバムには未収録だったというのが信じられないというか、もったいないなあと思っています。
ところで、この作品にまつわる話はいろいろありまして、まずウェスを含めた5人構成のメンバーは急造メンバーであったということ。
当時たまたまサンフランシスコに来ていたマイルス・デイビスのセクステットから、Wynton Kelly、Paul Chambers、Jimmy Cobbの3人に来てもらい、更にウェスとは初顔合わせのJohnny Griffinを加えた5人での演奏でした。
それから、本作は一般的にはライブアルバムとして認知されているようなのですが、実際にはレコーディングセッションで、そのセッションに多くの人が集まって来たというのが本当らしいのです。これは私も最近知った事実です。
いろんな逸話がありますが、それも名作ならではというもの。厳密にはライブアルバムではないとしても、観客の雰囲気や、ライブアルバムならではの「その場で生で聴いている臨場感」とかは素晴らしい。
他にも好きなジャズ・アルバムはたくさんあるんですが、本作はやっぱり外せないかなと思います。
Tracks:
01: Full House
02: I’ve Grown Accustomed To Her Face
03: Blue ‘N’ Boogie
04: Cariba
05: Come Rain Or Come Shine (take 2)
06: S.O.S. (take 3)
07: Come Rain Or Come Shine (take 1)
08: S.O.S. (take 2)
09: Born To Be Blue
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