Luke Combs / Fathers And Sons

コンテンポラリー・カントリーのトップランナーとして、数々のヒットを生み出してきたLuke Combs。2024年にリリースされた『Fathers & Sons』は、彼にとって5作目のスタジオ・アルバムです。

アルバム全体の印象は、率直に言えば少し地味です。アコースティックを中心としたサウンドも、派手さや華やかさを前面に押し出したものではありません。しかし、歌詞をじっくり聴き込んでいくと、彼の家族に対する思いが手に取るように伝わってきます。父親としての喜びや葛藤、そして家族と過ごす時間の大切さ。そうした一つひとつの思いに共感できるところが多く、聴くほどに味わいが増していく作品だと感じました。

オープニングを飾る「Front Door Famous」は、どこか懐かしさを感じさせるサウンドが印象的です。アルバムの幕開けとしては意外なほど落ち着いた雰囲気の曲ですが、何より歌詞が素晴らしい。ツアーで家を空けることの多い彼が、スターとしてスポットライトを浴びることと、一人の父親として家族と過ごす時間との間で揺れる心情を歌っています。家を出るときに幼い息子から「パパ、行かないで」と泣かれるのはつらいものです。それでも、帰宅して玄関の扉を開けた瞬間、息子が「パパ!」と叫びながら走ってきて抱きついてくれる。その瞬間こそが何よりも幸せであり、どんなステージで浴びる歓声にも代えがたいものなのでしょう。

「Ride Around Heaven」も心に残った一曲です。亡くなった祖父と夢の中で再会し、古いフォードのトラックで天国をドライブするという物語。二人で過去や現在について語り合い、一緒に「Amazing Grace」を歌う場面には、言葉では表しきれないほどの深い絆を感じます。どこか懐かしく、そしてスピリチュアルなこの曲には、思わず胸を打たれるものがありました。

そして、アルバムの最後を飾る「Take Me Out to the Ballgame」も忘れられません。離れて暮らす父親に電話をかけた男の子が、もうすぐ迎える誕生日に野球の試合へ連れて行ってほしいと頼みます。自分が悪い子だったからパパとママは別れてしまったのか、いい子にするから戻ってきてほしい。そんな子どもならではの罪悪感と、もう一度家族3人で野球を観に行きたいという純粋な願いが描かれています。聴いていて胸が締め付けられるような、切なくも心に残る曲です。

「Front Door Famous」では父親の立場から、「Take Me Out to the Ballgame」では子どもの立場から家族への思いが描かれています。その二つの曲に、祖父と孫の絆を歌う「Ride Around Heaven」が加わることで、親から子へ、そしてさらにその先へと続いていく家族のつながりが感じられます。

派手さこそありませんが、歌詞をじっくり聴き込むほどに、Luke Combsの家族に対する思いが伝わってくる作品です。父と息子、そして家族の絆というテーマに、共感できるところがたくさんありました。聴き終えた後も、心に温かいものが残るアルバムです。

Tracks:
01: Front Door Famous
02: In Case I Ain’t Around
03: Hurtin’ By Yourself
04: Little Country Boys
05: Whoever You Turn Out To Be
06: Remember Him That Way
07: The Man He Sees In Me
08: All I Ever Do Is Leave
09: Plant A Seed
10: Ride Around Heaven
11: My Old Man Was Right
12: Take Me Out To The Ballgame


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