Dexter Gordon / Our Man In Paris

1963年に発表された、デクスター・ゴードンの作品です。

参加メンバーは以下の通り。
Dexter Gordon – tenor sax
Bud Powell – piano
Pierre Michelot – bass
Kenny Clarke – drums

本作品、もともとデクスター・ゴードンが書き下ろした曲を集めたアルバムを録音すべくメンバーがフランスのパリに集められました。しかし、予定していたピアニストのケニー・ドリューが諸事情により参加せず、代わりにバド・パウエルが参加しました。すると今度はバドが新曲は演奏しないと言う話になり、最終的にスタンダード作品集が録音された、という経緯のあるものになっています。
何といわくつきなんでしょう。

そんな、ちょっと微妙なやり取りの末に録音された作品ではあるのですが、演奏自体は一体感があってなかなかだと思います。冒頭の “Scrapple From The Apple” においてもデクスター・ゴードン以外のメンバーのソロは思ったよりも控えめで、あのバド・パウエルですらリーダーであるデクスター・ゴードンを立てているのではないかと思えるソロ(ソロ自体は素晴らしいですが)。”Willow Weep For Me” においては、デクスターの丁寧なメロディープレイと、出過ぎようとせずバッキングに徹するバドの演奏が、まとまっているという印象を感じさせます。

その他、デクスターの丁寧な演奏の魅力が最も出ているのがバラード作品で、”Starway To The Stars” におけるテナーサックスならではの艶っぽさ、ロマンティックさはたまらないです。
皆さんご存知の「チュニジアの夜」(“A Night In Tunisia”) については、私も様々な作品でこの曲を聴いていて、ついアート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズのエネルギッシュなプレイの印象がありますが、本作におけるこの曲はおとなしめの演奏だと思います。派手なプレイもなく、これはこれでまとまった感じで良いとは思いますが、もう少しテンションが上がっても良いかも、という感想です。

CDのみに収録された最後の2曲の中で、最後を飾る “Like Someone In Love” は、デクスターが一切登場しない、バド・パウエルが中心となった作品で、本作品の中では異色ですね。バドに配慮したからなのか、リーダーを除いた3人による演奏がここに入るのは不思議ですらあるのですが、CDのみに収録ということで、良しとしますか。
演奏自体はリラックスしていてとても良いです。

総じて、私としてはデクスター・ゴードンの作品の中でもじっくり聴ける良い作品だと思いました。彼の作品では良く “GO” が名作と言われまして、私も好きは好きなんですけど、聴く頻度という面ではこの “Our Man In Paris” の方が多いんですよね。

Tracks:
01: Scrapple From The Apple
02: Willow Weep For Me
03: Broadway
04: Stairway To The Stars
05: A Night In Tunisia
06: Our Love Is Here To Stay
07: Like Someone In Love


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